温泉宿にて…』2002.03.24

 

「え?浴衣の下って、何か着るんですか?」
 八戒は小首を傾げて悟浄を見る。
「何?お前何も着てねぇの?」
「ええ。だって………って」
 怪しい笑みを浮かべた悟浄が、並べられた布団の上に軽く八戒を押し倒す。
 突然の事に驚いて目を瞬かせる八戒を他所に、悟浄の手が八戒の浴衣の襟にかかる。
「ホント、何にも着てねぇの?」
「って、何するんですかぁっ!?」
 襟を割って、肌を露出させようとする悟浄の手を留めようと、八戒は浴衣の合わせをぎゅっと握り締める。
「何って…やっぱここは玉の肌拝ましてもらわねぇとv」
「何馬鹿な事言ってるんですか!?って、本当にやめっ」
 じたじたと可愛らしく暴れる八戒を押さえつけて、悟浄は口の端を吊り上げて笑う。
「…何してやがる」
「「三蔵!」」
 不意に、頭上からかけられた声に、二人が反応する。
 目線を上げれば、部屋の扉の前に、不機嫌に眉間に皺を寄せた三蔵が立っていた。
「いやさ。八戒が浴衣の下に何も着てねぇって言うから…」
「だからって、男脱がして楽しいんですか!?」
「………成る程な」
「え?さ…さんぞ??」
 ひとつ頷くと三蔵は、浴衣の合わせを握る八戒の手をもぎ取って、その場に押さえつける。
「解ってるじゃん。三蔵様v」
「はっ…?はぅ??」
「ま、そう言う事ならな」
 妙な所で協力的になる二人に、心底の恐怖を覚える八戒だった。
 
 
 
「ちょっ…ちょっとまっ……っ!」
 本気で逃れようともがくが、元より力の差は歴然である上に、相手は二人がかりだ。
 両手は三蔵に押さえつけられていて、仰向けに転ばされた膝の上には悟浄が座り込んでいる。
「御開帳〜vって、感じ?」
 オヤジかお前は(苦笑)と言いたくなるような言葉と同時に、悟浄が八戒の浴衣の帯を解く。
「ひ…やっ!」
「さて…と…どーする?八戒v暴れても良いんだぜ?」
 ゆっくりと襟のラインをなぞって悟浄が人差し指を滑り込ませる。
「やっ…冗談はやめて…」
 ギュッと瞑っていた目を開けて、八戒が二人を見上げる。
 実際暴れてでも逃れたいのだが、帯を解かれた以上、変に動くと自ら浴衣を乱す結果となる。
 別に男なのだから裸を見られた所で恥ずかしいと思う必要も無いのだろうが、それはあくまで相手が自分に対して妙な気を持っていない場合だけだ。
 何をどう間違ったのか(苦笑)、二人は八戒を充分過ぎる程に所謂『性的な対象』として見ているのだから、むやみに肌を曝すのは避けたい。
「…そんな顔で頼まれても、悪いが聞けんな」
 八戒の両手首を一纏めにした三蔵が、空いた手でそっと八戒の頬を撫でる。
 途端に八戒の身体がビクリと強張った。
 涙を溜めた潤んだ瞳も、うっすらと上気した頬も…男を煽る物にしかならない。
「………イヤ…」
 消え入りそうな声が、二人のなけなしの理性を溶かした。
 
 
 
 
 
 と、その時、
「お前ら八戒に何やってんだよ!?」
 突然の怒声と共に、獣二人は吹っ飛ばされた。
「ご、悟空!?」
 自分の危機に現れた、実は八戒の大事な大事な旦那様の登場に、翡翠の瞳は驚きよりも歓びに満ちた。
 害虫駆除を終えた悟空は、すぐに、八戒の前にしゃがみ込む。
「大丈夫か!?八戒!」
「悟空…」
「ごめんな、俺が風呂場で遊んでたから、八戒こんな目に遭わせちゃってさ…」
 八戒に謝罪しながら、悟空は乱れた浴衣を直してくれる。その行為と台詞、そして、見るからに気落ちしている大好きな旦那様に、八戒は、それは綺麗な綺麗な笑みを浮かべて首を横に振った。
「でも、悟空はちゃんと、助けてくれたでしょう?」
「八戒…」
「有り難う御座います」
 そう言って、悟空にキス。
 少し驚いた悟空だけれど、でもすぐに、嬉しそうに笑って、
「俺絶対、八戒守るからな!」
「はい、有り難う御座いますvv」
 二人がラブラブバカップルモードに突入した頃…獣達は二人淋しく、雪の舞うお庭の中、動けないでおりましたとさ♪
 
 
 
 
 
「…八戒…」
 悟空の逞しい腕が、座り込んだままの八戒の背に回る。
「…ごくう…」
 力強い腕に抱き締められて、漸く落ち着いてきたのか、八戒が甘えるようにその胸に頬を擦り付けた。
「…あいつら…ほんっとうに……マジ、ムカツク」
「…悟空…」
 『俺の八戒に変な事しやがって』と、頬を膨らす悟空を、上目遣いで覗き込んで、八戒は綺麗な笑みを浮かべる。
「何があっても…僕は、悟空の物です」
 例え、あの二人にどんな目に遭わされたとしても。それだけは絶対に。心だけは、譲れないから。
「違う」
「え…?」
 少し堅い声に、目を見開く八戒を、真剣な黄金の瞳が見下ろしていた。
「八戒は、物なんかじゃないだろ?」
「…ご…くう…」
 真っ直ぐな視線が絡まり合う。
「これ以上『何か』なんて絶対、そんな事させねぇから」
「悟空…」
 眼差しが、優しい声音が、胸にじんわりと染み込んでくる。
「八戒…」
「…あ……」
 耳元に『キスして良い?』と、熱い吐息と共に囁かれ、頬を朱に染めながら、八戒が小さく頷く。
 ゆっくりと、吐息が絡む。
「……ん…ふ………はぁ」
 時折零れる甘い声に誘われるように、柔らかく布団の上にその身を横たえる。
 一瞬身じろいだ八戒だったが、すぐに身体の力を抜いて、覆い被さってくる影を極上の笑みで受け止めた。
 
 
 
『……っ…あ…っは……ん……ごっ…くぅ』
 薄い壁越しに聞こえる押し殺した甘い声を、ケダモノ様二人は無言で煙草を吹かしながら聞いていた。
 目を閉じると、清楚な雰囲気の八戒が、あられも無い姿で身悶えると言う映像が脳の中に結ばれて、何ともやり切れない思いで一杯になる。
 大体どうして、あの悟空とあの八戒がこんなにもラブラブな恋人なのだろう?
 と、考えた所で何が変わる訳でもなく。
 翌朝までに八戒の機嫌が直って居る事を願う二人だった。
 
 
 
 
 
「ってゆーかさァ」
「何だ」
「オレの何処が猿に負けてるワケ?」
「知らん」
「絶対オレの方がテクあると思わない? 三蔵サマ」
「……そーゆー所だろ」
「あァ!?」
「人間の言葉は理解できねェのかエロ河童」
「なッ……!!」
「煩い黙れ。殺すぞ」
「殺れるもんなら殺ってみやがれ!!」
 
 ……どっちの2人にとっても、まだまだ夜は始まったばかり。
 
 
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  ★言い逃れ★
 
折角激素敵な同盟に参加したのだから、何かイヤガラセ面白い事を…
と、言う事で、無理矢理「会員番号連番だからさぁ…企画投稿しない?お嬢さんがたvv」と、No.9の勝さん&No.11の華臣戒斗さんをナンパして、まずはお試しとばかりに某掲示板で書かれていたリレー小説を押し付ける事と相成りましたv
なんて迷惑なのでしょうか!?
けれど、私の腐った駄文はともかく、二人の文章を流しちゃうのは勿体無くて、どうするか悩んでいたので、会員同士、こんな楽しみ方があっても良いんじゃないかと勝手な判断で、押し付けさせて頂く事となりました。
と、言う訳で安純様。
首謀者は私ですので、苦情がありましたら、私までお願いしますね。(T-T)
 
ところで…何処を誰が書いたかお解りになりますか?
答えは…★鬼灯
★勝様
★華臣戒斗様…でしたv
 
2002.03.24 鬼灯
 
 
 
 




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