『EDGE』2002.03.23

 

「今日はここまでだ。三蔵!次こそ経文は頂く」
紅孩児のその言葉が、戦いの幕切れだった。
「おととい来やがれ!」
「って言うか、いくら来ても無駄だからもう止めとけ」
「また遊ぼうぜ!」
「お帰りも、気をつけてくださいね」
くるりと背を向けて帰途に着く紅孩児たちに、口々に別れの言葉を吐いて、
三蔵一行も正反対の方向に歩き出す。
二歩三歩、歩いてから、ふと独角兒は視線を感じて振り向いた。
 
三蔵一行の最後尾を歩く彼が、同じ様に振り向いて自分を見ている。
視線が絡んだ途端、艶やかな笑みがぱっと広がって、直ぐに掻き消えた。
二人には、それだけで充分だった。
 
 
時刻は真夜中である。
野営の場所から幾分離れた場所に、八戒は居た。
仲間達から伺えないような、深い茂みの影。
そこに身を隠して、横たわり時を待つ。
空には、糸のように細い三日月。
その少ない光は八戒の好みにあっていて、だからだろうか、
らしくもなく焦れている自分を嫌が上にも意識させられる。
掻き立てられる心に逆らえず、起き上がって、髪の乱れなどを整える。
そのまま、つと右手を耳の後ろから首筋に這わせ、両手で自身の体を抱きこんで、
盛り上がる心を押し込んだ。
あと少しの我慢。
 
狂おしい逢瀬の時が来る。
 
 
「待たせたな」
「別に待ってませんよ」
「そうか、俺は待ち遠しかった。次にお前に呼ばれる日が」
木陰から現れた独角兒が、八戒の体を押し倒し抱きこんでいく。
情熱のままに、服を剥ぎ取り、その肌に手を這わす。
つと八戒の手が、独角兒の頬に延びそのままどちらからとも無く唇が近づいて、長いキスをした。
 
すでに何度か抱き合っている仲だった。
そして独角兒の愛撫に、いつもでも面白いほどに八戒の体は反応する。
胸の尖りにむしゃぶりつき、わざと音をたてれば、早くも鳴き声が上がった。
「あっ、そこ、いっやぁ…」
「相変わらず感じやすいな、三蔵たちの仕込みか?」
「そんなこと、」
言わないで欲しいとばかりに、潤んだ瞳で懇願されて、独角兒はごくりと喉を鳴らした。
手の中にある八戒のモノは既に形を変え、雫を垂らしている。
うす闇の中に光る白い肌と、胸の二つの朱色、アンバランスな腹の傷。
頬を染めた、恥らうような表情とは裏腹に、艶かしい肢体は男の手を待っている。
清純にして淫猥…
相反する顔を併せ持った、なによりも綺麗な生き物。
決して、自分だけのものには出来ない存在。
抱きながら、時々独角兒は八戒に憎しみさえ感じていた。
 
「全身で誘いやがって。こんな姿をやつらにも見せているのか?」
「うっん、ちがう…ああっ」
相手を殺してしまいたくなるぐらいの狂おしい衝動を、独角兒は欲に変えた。
なめらかな大腿を大きく開かせ、顔を埋める。
先刻まで、手でいじっていたモノに舌を這わせながら、後ろに指を立てた。
挿入の恐怖に、反射的に怯える腰を押さえつけ、乱暴に2本の指を突き入れる。
入り口は異物の侵入を拒んでいるくせに中は熱く、くわえ込んだものを喜ぶような淫猥な収縮を繰り返していて、たまらず執拗にまさぐった。
「どく、がく、お願いもっとゆっくり」
「だめだ、止まらん」
言葉では、八戒の懇願をはねつけたものの、独角兒は一旦指を引き抜いた。
余程辛かったのだろう。八戒がほっとする気配がする。
だが、次の瞬間悲鳴が響いた。
「いやっ、くるしい、いやあ〜」
「止まらんと言ったろう。暴れると変に傷つくぞ」
八戒の白い体を開いて、無理やり独角兒が入ってきたのだ。
泣きながら跳ねる体を軽々と押さえ込んで、独角兒は乱暴に自身の猛りを八戒の中に深く打ち付ける。暫く後、徐々に苦痛ではない八戒の声が上がるようになった。
 
頼りない月明かりの中で、二人は抱き合っている。
押さえつけられて蹂躙されているかのような八戒の手は、しかしきつく独角兒の腕に縋って離さない。
容赦なく責めたてている独角兒のその手は、いたわるように八戒の背を抱えこちらも固くその身を離さない。
そのまま、永遠に離れないのではと思わせるような、激しい交わりだった。
 
 
「大丈夫か?」
「ええ、なんだかんだいって、貴方は手加減してくれてますよね」
「そんなつもりはないがな」
服を調えながら、努めて軽い口調で言い合う。
もうすぐ夜は明ける。
お互いの場所へと戻らねばならない時は、すぐそこに迫っている。
「じゃあ、行きます」
「ああ、じゃあな」
めいめいの方向へと歩き出した。
 
次に会う時は、抱き合う事になるのか、それとも殺し合う事になるのか。
 
誰よりも愛しくて、誰よりも憎い、唯一の存在。
二人の愛はそんな風に出来ていた。
 
 
 
 
 
 
後書き
遅くなりましたが、「dirty pure」3万ヒット記念と、八会発足記念に捧げさせていただきます。おめでとう御座いましたvv
記念といってはなんですが、当社比150%ほどアダルト度を増量してみました。
独八って、マイナーの極みで見た事が無いのですが、こんな感じはいかがでしょう?
ああ!!石投げないでぇ〜
 
蜂谷れな
 
 
 




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